債権譲渡通知書の発送について
預託金式ゴルフ会員権の取引後、直ちに債権譲渡通知書を第三債務者であるコースに発送することでどのような効果が期待できるでしょうか。
まず旧会員がコース経営会社にもつ債権が自身のものとなります。従って、以後旧会員が負う何らかの債務によって他の債権者からの当該ゴルフ会員権の差押えを免れることとなります。
では債権譲渡通知書の発送後、印鑑証明書は旧会員のものが必要かどうかですが、ほとんどのクラブで旧名義人の印鑑証明書を要求しているようです。ゴルフ会員権は額面債権とプレー権が一体となっていて債権譲渡通知書によりコースにもつ債権は自身のものとはなるのですが、プレー権については入会が許可されてからとなりますから印鑑証明が必要と解釈されているようです。
株式ゴルフ会員権の場合は善意に会員権を取得している限り法的に保護されます。言わずとも株主は資本の出資者であり債権者ではないので、金銭の債権・債務の観点からは債権譲渡通知書の発送の必要はないのですが、ゴルフ場施設を利用しプレーする権利、施設の提供義務という役務提供の債権・債務の観点から債権譲渡通知書を発送し、コースもそれを受領しているようです。
となれば、株主ゴルフ会員権の購入者は債権譲渡通知書をコースに発送することで旧名義人の印鑑証明書は必要がないと思うのですがそのあたりはどうなのでしょうか。
債権譲渡通知書は本来、譲渡人からコースに発送しなければならないのですが、取引時に譲受人が預かって代わりに発送するのが確実です。譲渡人に悪意がなくとも発送が遅れたり忘れたりすることもあるからです。
株式ゴルフ会員権と預託金式会員権の話のついでに、証券紛失の際の取り扱いやまた、当サイトでの売買の際の注意点を挙げてみます。
株式ゴルフ会員権はゴルフ場経営会社に資本を拠出し、株主となりまた、預託金式ゴルフ会員権の場合は会社の債権者となってプレー権を併せ持つ立場となるのは前述の通りです。株式の場合ならゴルフ場経営会社が破綻した際、100%減資により価値を失うこともあり、従って株式ゴルフ会員権と預託金式ゴルフ会員権とのどちらがよいのか一概に言えませんが、しかし、なんと言っても株式は当然のこと株主としての権利があり、また財務内容を知りうる立場が魅力です。
株式と預託金式の両方の会員権を同一コースで発行している場合での売買では当サイトへ物件登録の際、特約条件の欄に必ず株式と預託金式の区別を記入下さい。
例えば個人正会員の株式を購入したい時は物件登録の際、個人正会員の欄にチェックを入れ特約条件に「株式会員権を求む」或いは「株式に限る」等と明記下さい。
逆に売却する際は、個人正会員にチェックを入れ、特約条件に「株式会員権である、または預託金式会員権である」との明記をして下さい。要するに売買の際、株式ゴルフ会員権なのか預託金式ゴルフ会員権なのかを特約条件で明らかにすることが必要です。この違いを明示しないで約定させるとトラブルの元となりますのでご注意下さい。
証券紛失の際は株式なら有価証券としての立場があるので、法に従って再発行手続が進められ、コースとしては処理がしやすいと言えます。その点、預託金式ゴルフ会員権の場合各コースによって対応が異なり、手続きが面倒でコースによっては証券が再発行されないことで売却できないこともあり得るし、或いは相当の減額がなされないと売却できないかもしれません。
実際にあったことですが、あるコースの預託金式ゴルフ会員権を紛失されている方から譲渡依頼があってその方の了解のもと、最終的に相場の半値にまで下げて売却を試みたのですが結局かないませんでした。このような観点からは株式ゴルフ会員権の方が良いのかもしれません。
債権譲渡通知書に戻りますが、取引終了後は譲渡人任せにせずお預かりし購入者自ら発送することを改めてお勧め致します。当社が仲介する際はそのように取り計らいます。