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売買のヒント

名義変更の停止は最悪の市場介入投稿日:2010年05月20日
 ゴルフ場が名義変更停止する理由についてまず考えてみたい。既にオープンしているにも拘わらず市況が良くないので名義変更を開始すれば相場が額面を割ることが明らかな場合。相場の下落が公になるのを避けたい。名義変更を受け付けていたが追加で新規に募集を始める。株式ゴルフ会員権で決算報告のため、会計期末に株主を確定する。理由としてはこれくらいが考えられる。

 このうち一番多いのが「名義変更を受け付けていたが追加で新規に募集を始める」のケースである。名義変更を止めないと購入予定者は市場から調達するからだ。一般的には取引される会員権相場の同額か或いはそれより高い金額で募集されることが多い。メンバーにとってはメンバー数が増すことに何も利点はない。そのうえ、相場の下落要因ともなり有り難いことは何もないのである。

 名義変更を受け付けたままで新規募集するコースもなかにはある。このようなコースは市場に会員権があまり出てこないので名義変更を停止する必要がないからだ。従って人気がありメンバー数も少ないコースに多い。募集金額も既発行会員権の相場よりも相当に高く設定される。このように少ないメンバーを多少増加することなら容認できよう。

 既にゴルフ場がオープンして何年にもなるのに名義変更を受け付けないコースは以前にはたくさんあった。バブル期に募集してオープンが崩壊後になったコースだ。心中は察するがメンバーは換価の機会を奪われるので大変に迷惑する。「相場の下落が公になるのを避けたい」を理由に名義変更を停止するのは許し難い。

 こういうコースは今でもある。募集時には市場を利用し、オープンしてしまえば市場を閉ざす。つまり、自らのことしか考えていない。そもそも自らのコースが建設出来たのは市場を利用し会員募集ができたからである。このマーケットがなければ会員募集などできなかったはずだ。何か言うと理事会の決定事項を盾にする。理事の選任も民主的に行われているのかどうか怪しいものだ。こういうコースに限って裏で名義変更していたりする。

 なかには名義変更は受け付けてはいるが市場関係者に相場を出すなと圧力を掛けるコースもある。このように言うコース関係者は市場経済を無視している。おそらくこういうコースは償還のことを考え焦っているのであろう。

 そもそも、ゴルフ会員権が募集によって購入されるのは市場でいつでも換価できるからだ。自由主義に根ざした売買市場がなければゴルフ会員権など誰も購入しないであろう。名義変更停止は最悪の市場介入であることとコース関係者は知らなければなるまい。そして市場を統制し、或いは無視する行為はいずれ天に唾することと、コース関係者は知るべきである。

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