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税金の計算方法

岡会計事務所 監修
所長  岡 健治 税理士
〒540-0026
大阪府大阪市中央区内本町1丁目1番1号
OCTビル3F

ゴルフ会員権を巡る税金

(個人所有の場合)
・ゴルフ会員権を譲渡した場合
課税期間:1月1日~12月31日
申告期間:2月16日~3月15日

  1. 課税方法

    譲渡所得として給与所得など他の所得と合わせて総合課税の対象となります。

  2. 計算方法

    この場合の所得金額の計算は、その会員権の所有期間に応じて次のとおりとなります。

    1. (1) 所有期間が5年以内のもの(短期譲渡所得)

      譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 )- 50万円 ( 特別控除額(注)) = 課税金額

    2. (2) 所有期間が5年を超えるもの( 長期譲渡所得 )

      { 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 )- 50万円( 特別控除額(注)) } X 1/2=課税金額

    (注) 譲渡所得の特別控除の額は、その年のゴルフ会員権の譲渡益とそれ以外の総合課税の譲渡益の合計額に対して50万円です。これらの譲渡益の合計額が50万円以下のときはその金額までしか控除できません。 また、(1)と(2)の両方の譲渡益がある場合には、特別控除額は両方合わせて50万円が限度で、(1)の譲渡益から先に控除します。

  3. 注意事項

    •  平成26年4月1日以後に行ったゴルフ会員権の譲渡により生じた損失は、原則として、給与所得など他の所得と損益通算することはできません。

    • 平成26年3月31日までに行ったゴルフ会員権の譲渡により生じた損失は、給与所得など他の所得と損益通算することができます。
      ※ゴルフ会員権を平成26年3月31日までに譲渡したが、申告せずに忘れている場合、場合によっては、還付申告が可能

    1. ゴルフ会員権を譲渡した場合の取得費

      原則として、ゴルフクラブの会員となるために支出した費用等をいい、次のようなものがこれに該当します。
      (1) ゴルフクラブへの入会に当たって支出した入会金、預託金、株式払込金
      (2) 第三者から会員権を取得した場合の購入価額、名義書換料、会員権業者に支払う手数料
      (3) 会員権を取得するために借り入れた借入金の利子のうち、その会員権の取得のための資金の借り入れの日から使用開始の日までの期間に対応する部分の利子この場合の「使用開始の日」は、次のとおり、会員としての権利の行使が可能となった日をいいます

      ① オープン前の会員権を取得した場合には、そのゴルフ場がオープンした日(オープン前に譲渡した場合には譲渡の日)
      ② オープン後の会員権を取得した場合には、会員権(会員資格)を取得した日

    2. 会員権を譲渡した場合の譲渡費用

      譲渡のために直接要した費用をいい、ゴルフ会員権業者に支払う手数料等がこれに該当します。

    3. 年会費は、会員権を保有することに伴う維持管理費用ですから、取得費及び譲渡費用のいずれにも該当しません。

預託金制のゴルフ会員権が分割された場合の取得価額等

次のように、ゴルフ会員権が分割され、分割後の会員権を譲渡した場合の取得価額及び取得時期(所有期間)はどのように判定するのでしょうか。

(事例1)
  Aゴルフ場では、平成2年に入会金500万円、預託金2,500万円の合計3,000万円で募集した会員権について、預託金額面1,000万円の会員権1口と500万円の会員権3口の計4口に分割することを会員に提案し、会員である甲は、平成10年にこれに応じました。
 甲は、この分割により取得した4口の会員権のうち3口(いずれも預託金額面500万円のもの)を売却しました。
税理計算

(事例2)
 上記の例で、分割の際に、旧会員権の預託金が分割後の会員権の預託金に一部引き継がれずに、500万円が会員に償還され、分割後の会員権の預託金が4口とも500万円となった場合にはどうですか。

【回答】
 会員権の分割は、既存の契約内容の変更とみるのが相当ですから、分割後の会員権の取得価額は、分割前の会員権の取得価額(照会事例の場合は3,000万円)を分割後の会員権のそれぞれの預託金の額の割合で付け替えた価額となります。
したがって、事例1の甲の譲渡した会員権の1口当たりの取得価額は、600万円となります。
税理計算

 また、事例2のように、分割の際に、預託金の一部が償還された場合には、分割前の取得価額から償還された預託金相当額を控除し、その控除後の金額を基に、分割後の会員権のそれぞれの預託金の額の割合で付け替えた価額となります。
 したがって、事例2の場合の分割後の会員権の取得費は、1口当たり625万円となります。
税理計算

 所有期間の判定については、事例1及び2のいずれの場合も、分割後の会員権の取得時期は、分割前の会員権の取得時期を引き継ぐこととなります。

預託金制ゴルフクラブを退会し預託金の償還を受けた場合

 預託金制ゴルフクラブの会員が、そのゴルフクラブを退会し、預託金の償還を受けましたが、その会員権の取得価額に比べると相当の損失が生じています。この場合の損失は譲渡損失として他の資産の譲渡による譲渡所得と通算をすることができますか。
 また、預託金の全額ではなく一部しか償還されなかった場合の償還不足額はどうなりますか。

【回答】
 ゴルフ会員権に係る預託金返還請求権の行使は、通常一定の据置期間経過後に、ゴルフクラブからの退会を条件に認められます。これにより預託金の償還を受けるという行為は、優先的施設利用権を自ら放棄して、単に貸付金債権を回収する行為であり、ゴルフ会員権を譲渡したものとみることはできません。
 したがって、譲渡所得の基因となる資産の譲渡により生じた損失には該当しないため、他の資産の譲渡による譲渡所得と通算することはできません。
 また、これにより償還不足額が生じたとしても、その償還不足額は「家事上の損失」として、所得税の計算上考慮されません。
 なお、預託金の額を下回る金額で第三者から会員権を取得していた者が、ゴルフクラブからの退会に伴い、その取得価額以上の預託金の償還を受けた場合には、その所得は、雑所得となります。

更生手続等により優先的施設利用権のみとなったゴルフ会員権をその後譲渡した場合の譲渡所得に係る取得費の計算

 ゴルフ場経営会社について、会社更生法による更生手続が行われ、預託金債権が全額切り捨てられましたが、優先的施設利用権については、更生手続の前後において変更なく存続し同一性を有するものとされました。この度、この優先的施設利用権のみとなったゴルフ会員権を譲渡しましたが、譲渡所得の取得費は、次の計算でよいでしょうか。

(事例1)
更生手続前のゴルフ会員権は、次のとおり新規募集に応じて取得したものです。
 入会金  500万円
 預託金 2,000万円
 預託金債権が全額切り捨てられていることから、取得価額から切り捨てられた預託金債権部分を控除して、更生手続により優先的施設利用権のみとなったゴルフ会員権の取得費を算出します。
税理計算

(事例2)
更生手続前のゴルフ会員権は、次のとおりゴルフ会員権取引業者から取得したものです。
 ゴルフ会員権の購入価額    250万円
 購入時に支払った名義書換料 100万円
なお、このゴルフ会員権の新規募集時の入会金及び預託金は、次のとおりとなっています。

入会金   500万円
預託金  2,000万円

①まず、取得価額に含まれる優先的施設利用権に相当する部分の価額を会員募集時の預託金と入会金から按分して算出します。
なお、この算出した価額(優先的施設利用権に相当する部分の価額)が入会金の額を超える場合には、ゴルフ会員権の購入価額から預託金の額を控除した額となります。
税理計算

②次に、①により算出された取得価額に含まれる優先的施設利用権に相当する部分の価額と購入時に支払った名義書換料から、更生手続により優先的施設利用権のみとなったゴルフ会員権の取得費を算出します。
税理計算

【回答】
 照会意見のとおりで差し支えありません。
 なお、優先的施設利用権が更生手続の前後で変更なく同一性を有していると認められない場合には、更生手続により取得したゴルフ会員権の取得時の時価相当額になりますので、ご注意ください。

相続で取得した会員権を売却した場合の税金

相続で取得した会員権を売却した場合の税金は、取得した会員権を売却する時期により異なります。


① 昭和40年 父が会員権業者から100万円で購入
② 平成 1年 父から相続 相続時の * 評価額は6000万円で相続税額は780万
③ 平成13年 会員権業者に600万円にて売却

A.相続後(3年以内)に売却した場合
 780万(②相続時に支払った相続税) + ① = 880万円(取得費用)
B.相続後(3年以降)に売却した場合
 ① = 100万円(取得費用)

例の場合、相続後3年以上経過した後に売却為、500万の譲渡益が発生します。
上記のように相続で会員権を取得しゴルフ場を利用しない場合は、相続後3年以内に売却することをお勧めします.

【備考】上でいう相続後(3年以内)とは、厳密にいうと次の通りです。
被相続人の死去から10ヶ月以内が相続税の申告期限。その期限から3年(=通算3年10ヶ月)を経過したか、どうかが 相続税額を取得費用に算入出来るか否かの分岐となります。

* 相続により取得したゴルフ会員権は、取引相場のあるものについては「市場取引価格の70%に相当する額」が、相続税算出時の評価額となります。
* 平成16年分の確定申告から、贈与・相続の際に支払われる名義書換手数料など、取得者がゴルフ会員権を譲渡した場合の取得費に含めてよいこととなりました

(法人所有の場合)

    1. 法人が支出したゴルフクラブの入会金及び会費等の取扱い

      入会金、名義書換料
       資産に計上します。ただし、記名式の法人会員で名義人である特定の役員等が専ら法人の業務に関係なく利用する場合は、これらの人が負担すべきものとしこれらの人に対する給与となります。
      資産計上した入会金の処理
       法人が資産に計上した入会金は償却は認められませんが、ゴルフクラブを脱退したり会員権を譲渡した場合の損失に相当する金額は、その脱退又は譲渡した事業年度の損金に算入するものとします。
      会費等
       ゴルフクラブの年会費、年決めのロッカー代などの費用については、その入会金が資産に計上されている場合には交際費となり、給与とされている場合には会員である特定の役員又は使用人に対する給与となります。

    2. 会員権を譲渡した場合

       預託金方式、株式方式のいずれも譲渡による利益は益金、損失は損金になります。

ゴルフ場が破綻した場合

  1. 預託金方式の会員権の貸倒引当金計上

    (法人会員の場合)
     プレー可能の場合は、預託金返還請求権の全部又は一部が顕在化しておらず、単なる金銭債権とはならないため、貸倒引当金、貸倒損失等の損失計上をすることはできません。
     プレー不能の場合は、金銭債権とされるため、貸倒引当金の個別評価による繰入の形式基準を満たす場合、貸倒引当金として計上可能です。
     また、法的手続きの中で預託金債権の一部が切捨てられた場合、貸倒損失の計上基準を満たせば貸倒損失を計上することができます。(法基通9-7-12)

    (個人会員の場合)
     ゴルフ会員権に事業関連性は認められないため、金銭債権として貸倒引当金や貸倒損失を計上することはできず、また雑損控除もできません。
     ただし、法的手続きを経た後従来どおり優先的施設利用権を行使できる場合で、譲渡を行った場合には、譲渡所得として損益通算できることとなります。

  2. 株式方式のゴルフ会員権の評価

    (法人会員の場合)
     株式方式のゴルフ会員権の相場の下落は、有価証券の評価損の規定を適用するため、価格が取得時の2分の1以下に下落しているなど一定の条件に該当する場合、法人税法上評価損の計上ができます。

    (個人会員の場合)
     所得税法上は、事業関連性が認められないため、相場の下落による評価損の計上はできません。

ゴルフ会員権の消費税

ゴルフクラブが発行するゴルフ会員権には株式形態のものと金銭を一定期間預託する預託形態のものとがありますが、基本的にはその形態の相違により消費税の課税関係が異なることはありません。具体的な取扱いは、次のようになります。

<ゴルフクラブの課税関係>
ゴルフクラブが会員権を発行する場合において、その発行に関して収受する金銭は株式形態の場合は出資金であり、預託形式の場合は預り金ですから、いずれも資産の譲渡等の対価に該当せず課税の対象になりません。
 ただし、入会に際して出資金や預託金とは別に収受する入会金などで会員等の資格を付与することと引換えに収受する返還を要しないものについては、役務の提供の対価として課税の対象となります。
 また、プレー代、ロッカー使用料、年会費、会員権の所有者の変更に伴う名義書換料等も課税の対象となります。

<ゴルフ会員権業者の課税関係>
会員権業者が会員権の所有者又は購入希望者からの委託を受けて会員権売買の仲介を行った場合、その仲介に係る手数料は役務の提供の対価として課税の対象になります。
 また、会員権の所有者から買い取った会員権を売買する場合、株式形態のものは株式の譲渡に、預託形態のものは金銭債権の譲渡にそれぞれ該当しますが、ゴルフ会員権の譲渡は非課税とされていませんから、いずれも課税の対象になります。この場合、その会員権の譲渡について購入者から収受する金額が課税資産の譲渡等の対価の額となります。
 なお、会員権の所有者からの会員権の買取りは課税仕入れとなります。

<ゴルフ会員権所有者の課税関係>
事業者である会員権所有者がゴルフクラブに支払う年会費等は課税仕入れに係る支払対価に該当します。また、事業者が会員権業者から会員権を購入した場合その購入は課税仕入れとなります。ただし、ゴルフクラブが発行した会員権をそのゴルフクラブから直接取得する行為は不課税取引に係るものですから返還を要しない入会金などを除き課税仕入れとはなりません。

<法人所有のゴルフ会員権譲渡時の消費税取扱>
 非課税となる有価証券等の譲渡には、船荷証券、貨物引換証、倉庫証券、または株式でゴルフ会員権の買い入れは課税仕入となり、売却は課税売上となります。
 海外のゴルフ会員権であれば不課税取引となります。 法人は消費税法上、すべて課税取引になり、購入は課税仕入、売却は課税売上となります。
※消費税では売却代金が計算の対象となり、売却損や売却益自体は消費税の対象とならない。

■ ゴルフ会員権を購入した場合 ■
1:ゴルフ会員権
2:会員権業者に支払う手数料
3:名義書換料
4:年会費
5:※入会金
脱退等に際し返還されない入会金≫≫課税
脱退等に際し返還される入会金≫≫不課税
などに消費税がかかります

ゴルフ会員権相続時の評価

相続税や贈与税を計算するときのゴルフ会員権(以下「会員権」といいます。)の評価方法は次のとおりです。
なお、株式の所有を必要とせず、かつ、譲渡できない会員権で、返還を受けることができる預託金等(以下「預託金等」といいます。)がなく、ゴルフ場施設を利用して、単にプレーができるだけのものについては評価しません。

  1. (取引相場のある会員権)

    課税時期(相続の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)の取引価格の70%に相当する金額によって評価します。
     この場合において、取引価格に含まれない預託金等があるときは、次に掲げる金額との合計額によって評価します。
    (1)課税時期において直ちに返還を受けることができる預託金等
     ゴルフクラブの規約などに基づいて課税時期において返還を受けることができる金額
    (2)課税時期から一定の期間を経過した後に返還を受けることができる預託金等
     ゴルフクラブの規約などに基づいて返還を受けることができる金額の課税時期から返還を受けることができる日までの期間(その期間が1年未満であるとき又はその期間に1年未満の端数があるときは、これを1年とします。)に応ずる基準年利率による複利現価の額

  2. (取引相場のない会員権)

    (1) 株主でなければゴルフクラブの会員(以下「会員」といいます。)となれない会員権
     財産評価基本通達の定めにより評価した課税時期における株式としての価額に相当する金額によって評価します。
    (2) 株主であり、かつ、預託金等を預託しなければ会員となれない会員権
     その会員権について、株式と預託金等に区分して、それぞれ次に掲げる金額の合計額によって評価します。
    イ 株式の価額
     2の(1)に掲げた方法を適用して計算した金額
    ロ 預託金等
     1の(1)又は(2)に掲げた方法を適用して計算した金額
    (3) 預託金等を預託しなければ会員となれない会員権
     1の(1)又は(2)に掲げた方法を適用して計算した金額によって評価します。
    (評基通4-4、211)

 

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